山口講師の視点

学校休校期間中に子供たちのやる気を維持させるキーワード②

学校休校期間中に塾へほぼ毎日のように来る生徒達なにが彼らを頑張らせるのか

ある男子生徒に聞いたら、こんな返事だった。

「まぁ、ずっと休みだし、もうやることないから塾こようかな~、ってのもあるんだけど、先生言ってたように、せっかくだったら今ガンガンやって、一学期楽しようかな~、って思って。」

そうか、そんなこと言ったっけ…。

実は3月の上旬、この休校期間の特別開校を前にして、新中1から新中3まで全員に、私は確かにこう言った。

「どうせ部活もない。ディズニーランドも休み。だったらさ、もうみんなに新しい学年のテキスト渡すからどんどん進めなよ。で、もしこの3月に1学期の範囲が全部終わったら、君たち1学期の学校の授業、7月までずっと、ボーっとしてていいんだぜ。授業聞いてなくたって、あとは期末テストの前にちょちょっと勉強したらおしまいさ。だって一学期始まる前に全部理解してんだもの。1学期学校でボーっとしよう作戦。どうだ?いいだろ!」

こうして始まった

1学期学校でボーっとしよう作戦

中学生には相当魅力だったのか、どうやら塾では「勉強熱パンデミック」が起こったようだった。

 

学校の先生には悪いが、子どもたちにとってほとんどの学校の授業というのは本当にしんどいのだろう。これは塾で毎日生徒と接しているとすぐにわかる。

いや、そもそも自分も中高生のときそうだったか…。解説が下手くそで何を言ってるのか訳が分からない先生。授業を統率できず、生徒たちが騒ぎまくってガヤガヤした授業。他方、生徒をぶん殴るほどに厳しい先生のシーンとした授業での眠気との戦い…(←1990年代まではこれが普通でした)。あんまりいい思い出がない。学校と言えば、人間関係であり、部活であり、行事であり、学校の勉強といえば、定期テストの順位表がすべてだった。

その学校の授業でボーっとできるしかも質問されても答えられるほどにすでに理解済みな自分。なんて、ドラえもんの道具を出されたのび太並みにうれしい出来事なのはたしかに容易に想像できる(笑)。

 

私もこの活気に乗じて、中学生に進度表なんぞを作り、テキスト(もちろん皆、次年度の範囲)を自主的に進めたらシールを張るようにし、同学年同士で競わせるようにした

新中3生が最初の2週間で一気に加速したため、そのやる気に触発された新中2生も追撃態勢に。なんと3月20日現在、まだ正式な春期講習にもなっていないが、中3生は概ね50ページ(テキスト全体が250ページなので、全体の五分の一)、中2生も40ページ前後進んでいる。

進み具合もさることながら、中学生たちの理解力にも驚く。英数のテキストにはそれぞれ新単元の最初にある程度の解説ページがついている。基本的に、解説を自分で読んで理解し解いてみる。わからないところは各自先生に質問する、というルールなのだが…・

はっきり言って、みんなあまり私のところに聞いてこない…(涙)。

いや、というか、それでいい、と私は思う(笑)。

基本的にできる限り自分で演習しながら乗り越えてほしいし、そのほうが確実に習得するのだから。

集団授業というのは、先生の側はしっかり教えている感があって、生徒達も一見理解したかのような感覚になる。

ただ、

実際に生徒が習得するのは生徒自身が演習して自分で解いて納得した時だ。

すなわち、インプットの時間はできるだけ短くアウトプットは生徒が確信できるほどにできるだけ長く、が基本である。そういう点で、自立個別(生徒たちがなるべく自主的に進めながら先生がサポートを入れる)は理想的な授業形式だ。私自身、10年以上前から、塾の一部門でこの方式を導入する際に、部門責任者として立ち上げ時から参画してきた経験があり、昨年同じくこの自立個別を積極的に推し進めている大森山王学院のメンバーにも加わることとした。

もちろん、生徒たちがただ好き勝手問題を解いてほったらかしているようではダメだ。実際、上記の「1学期学校でボーっとしよう作戦」も、生徒達は各単元を解いて採点・直しが完了するたびに、私が一度ノートをチェックするように取り決めている。基本的に生徒たちは間違えた問題の直しを自主的に進め、完璧になってから(なったつもりで)私のところに持ってくるが、必ず私からの突っ込みが入る。

この問題ってさぁ、なんで〇〇って答えになるの?」

なんで✖✖だとだめなの?」

説明できて初めて理解したことになる

そうやって潜り抜けて初めて進度表にシールを張れる

生徒達もよくわかってるようで、事前に他の生徒達と相談したり質問しあったりしてから私のところにノートを提出する。

これもいいことだな、と思う。同学年でもできる子に質問したり、時には上級生に聞いたりする教わる側は、先生より同級生や先輩から教わると理解しやすかったりするし教えた側は自信や責任感が増す。昔のモーニング娘。みたいなものだ(←古いネタしか思い浮かばず、すみません)。

 

こういう一連の動きは、残念ながら塾でしかできなかったりする

 

新型コロナウイルスに関する対応で、未だ休校処置をとりながら添削作業をする塾、オンラインによるパソコンやタブレットを使った学習を進める塾など、教育業界も様々な叡智を結集して対応しているはずだ。それが悪いとか良いとかということではない。

 

ただなんの因果か、私はたまたまこの春に「塾を開き続ける」側の塾にいた(←別にどの塾も私が要望したものではありません…)。そして、その中で得られたひとつの情報をここで伝えておきたいと思い、今回この記事にまとめた次第だ。

この春休みに一人一人が払った努力は、必ず学力のアドバンテージになって成果に現れてくる。近い将来、彼ら自身がそのことを実感するだろう。

 

早咲きの桜の下を、子供たちが元気に走り回っている。

これから始まる新たな新年度を、彼らが健やかにそして凛々しく成長していってくれることを、私は切に願っている。