私は「都立中高一貫校を受検するというのは、子供に将来への学力の基礎をつくる作業だ」と考えています。
もっとも、この考え方には賛否両論あるでしょう。「受かってこそ受験だ」と考えておられる親御さんや中学受験を専門とする塾の先生方は特に否定的な反応をされるはずです。
「受かってこそ受験」。私もある程度共感します。ただ、そこに力点を置くなら、中学受験は私立中学を受験されることをお勧めします。なぜなら、私立中学の入試は、高校入試や大学センター入試等と同じく、学力(いわゆる偏差値)に比例してダイレクトに合格に結びつくからです。中学入試で出題される算数の単元はすべてマスターした。地理も歴史も理科も覚えた。志望校の過去問を解いて自己採点をしたら8割以上取れていた。じゃあ、受かります(たぶん…)。
でも、都立中の問題はそうはいきません。そもそも採点基準が正確にはわからない。記述式・論述式の問題というのはそういうものです。一応の模範解答はあるものの、当然ながら採点をする先生によって点数はバラけるでしょう。よって、今までも「公中検(模試)では合格ラインを何度も超えていたけど、本番はダメでした」というようなケースは多々見てきました。
大学入試でも論述式はたくさんありますが、都立中高一貫は一回しか受検のチャンスがない。そういう意味では、都立中高一貫校の入試というのは国立大学の二次試験と同じくらい狭き門だとも言えます。
もちろん、「都立中はダメもとで受けるものなんだ」なんて、決して思うべきでもありません。そもそも「ダメもと」という感覚で臨んだ入試で合格する可能性は宝くじに当たるのと同じくらい低い。意識の差は入試当日に如実に出ます。「受けるからには、本気で合格を狙う。」というのは受験の鉄則です。だからこそ、どの塾でも毎年綿密に都立中の問題を研究し、テクニックを向上させる努力をしているわけです。
ただ、そういう形式の入試を受けるからには、先生達も親御さんも、そして受検生当人も、ただ単に都立中入試をゴールにして戦うだけでなく、先を見据えて、そして受検をする意味を想いに留めて頑張る必要があるでしょう。(この点は「都立中高一貫校を受検することの価値」のシリーズ②の記事でも触れていますので、詳しくはそちらを参照されてください。)
そして不合格だった場合は、受検勉強をスタートしたときに決めた「受検の意味」を思い出して、すぐに次に向けて走り出せばいいだけのことです。
「そもそも、都立中受検を始めるときに、そこまで深く考えていなかった。」
「ずっと受かると信じていた。不合格は想定外で、親子共々、先に上手く進めそうにない。」
そういう場合はどうしたらよいでしょうか?
「中学受検をしたことには、たしかに意味があったんだ。その貴重な経験をこのまま無駄にするのか、活かすのかどうか」ということを、今から家族で話し合うのはどうでしょうか?
まだ、中1です。(しかもコロナ禍で学校まだ始まっていませんし)ここから走り出すことは充分可能だと思います。
次のブログで、一塾講師として、この記事を読んでくれた中学受検経験者の方(特に、残念ながら不合格だった人)に向けて、そのことを書きたいと思います。
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最終更新:2022年6月26日