高校受験

都立高校受験。ラスト二カ月半で100点伸びる生徒とは。‐2020年度都立高校入試75日前 ②‐

都立高校入試まで残り2カ月半。第一志望合格には当日点で5科目100点の上乗せが必要。さてこんなときどう判断するべきか。

大変失礼ではあるが、まずもって中学校の先生のアドバイスはほとんど役に立たないと言っても過言ではない。「受けたいなら最後まで頑張ってみろ」「簡単にあきらめるな」…。最終的には私も同じようなセリフを述べる。だが、私の知る限り、ギリギリの入試を行う生徒がそれをトライするべきかどうか、その判断基準となる指針について具体的なアドバイスを与えてくれた先生は、今まで見たことも聞いたこともない。

入試直前期に5科目で100点を超える点数を追いかけることは尋常なことではない。私自身、何年か前にラスト3カ月で160点を追い上げた生徒を指導したが、最後の90日間は休みゼロで塾に登塾させ(もちろん講師の側も年末年始含めて3カ月休みゼロ)、学校がある日は学校から直接塾に向かい、帰宅は毎日夜10時半。土日は丸一日塾に缶詰。その後家で一日平均6時間の課題をこなした。ある時、その受験生の隣のお家(お隣さんの子供たちも生徒だった)のお母さんから「〇〇さん(受験生の名前)の部屋の電気が毎日(午前)3時になっても4時になってもついている。大丈夫なんでしょうか?」と問い合わせがあったほどだった。大丈夫なわけがない。今だから言えるが、ラスト30日はずっと37℃台の微熱が続き、直前は(長期連用のしすぎか)風邪薬も効かなかったのだ。食欲だけは旺盛だったのが唯一の救いで、私も気を使って毎日のようにその生徒が好きなサンドイッチや甘いお菓子などをおごっていた。だれが心配しようと諦めるようなことは本人が頑として許さず、絶対に合格するんだ、という気概に満ちている生徒だった。最終的には合格をものにしたが、年頃の女子生徒をあそこまで酷使させたことが教師として正しかったのか、今でもよくわからない。ただ、その子にとってこの受験体験は相当な自信になったのだろう。今まで勉強でもその他の面でも表にあまり出ない自信のない子だったが、高校に入学してからは強豪部活に所属し、関東代表にも選出。そして大学受験で再び私が指導することになったのだが、その度も見事第一志望校に現役合格した。(ちなみに、映画「ビリギャル」を見ると私はいつもその生徒を思いだしては目頭が熱くなる。)

さて、それほどまでの大幅アップを遂げることがその生徒に可能かどうか、私はどう判断するか?

私は以下の4点を見ている。

 

1)本人が心身ともに健康であること

そんなこと当たり前だ、と言う人がほとんどだろう。だが、この最も基本的なことを見逃して受験に突き進むご家庭があまりにも多すぎる。元プロ野球選手の落合博満氏が「スランプに陥ったとき、根本的な原因は食事や睡眠などの基本的なところにあるのに、多くの人は他の点ばかりみる」といったようなことを以前おっしゃっていたが、まさに言い得て妙だ。

先ほどの160点アップの生徒は睡眠時間3~4時間で三カ月続けることができる生徒だった。微熱が続いても決して塾を休まなかった。そしてなにより、そんな体調で、しかもほとんどの人から「絶対に受からない」とまで言われた志望校を追い続けることを諦めない精神力があった。このメンタルはすごいものがある。中学時代にスポーツ系の激しい部活やクラブチームで体と心を磨いてきた生徒はこの点で本当に強い、と感じる。今まで子役やアイドルとして活動してきた生徒も何人か指導してきたが、芸能界という厳しい世界でもまれてきた彼らもまたやはり強かった。

もちろん、だれもが芸能界や体育会系の部活にいるわけではない。そこまで強靭な精神力が必要だとは思わない。ただ、今この時期に体調面やメンタル面がどれほど安定しているのか。ゲームやスマホとの向き合い方で気持ちをセーブできるか、人付き合い(友人関係や恋愛など)で今思い悩んでいるのか、いじめなどに悩んでいないか、家庭内の緊張はないか(親御さんの離婚や不和など)、そして身体面では体調が良好か(とくに、気圧の影響を受ける片頭痛、自律神経失調症、起立性低血圧など)…。これらの懸念が一つでもあるなら、大幅アップに向けたラスト3カ月の追い上げには慎重にならざるを得ないだろう。もちろん、上に挙げた例の中には本人にはどうすることもできない案件が多いだろう。しかし、「人生ってそういうものだ」ということを、いろいろな意味で学ばさせてくれるのも、受験の醍醐味のひとつだ。

 

 

<<③へ続く>>

 

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最終更新:2022年6月26日

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