山口講師の視点

都立高校受験。ラスト二カ月半で100点伸びる生徒とは。‐2020年度都立高校入試75日前 ④‐

3)本人にコミュニケーション能力があるか
高度なコミュニケーションスキルがあるかどうか、とまでは言わない。プレゼンテーションやディスカッションが上手にできるのであればそれはなお良いが、必ずしもそこまでの力がなくても大丈夫。ただし、先生との受け答えが常識の範囲内でしっかりできるかどうか、自分の気持ちや今考えていることをしっかり表明できるかどうかは、成績を(とりわけ短期間で)大幅に伸ばすための必須条件と言える。入試に向けて覚えることの総量はほぼ同じだ。だからこそ、他の人が9カ月、12カ月かけて理解するその膨大な量をわずか2カ月半で頭に入れ切り、整理して実践することまで考えると、先生とその生徒の意志の疎通は相当円滑で迅速に行わなくてはいけない。
これは地頭がよくて、一教えたら十理解する力が必要だ、と言っているのではない。わからないところだらけで先生に質問攻めにしてもいい。でもわからないところをただ「わからない」というのではなく、「なにがわからないのか」「なぜわからないのか」適切に説明する力が必要だ、ということである。
この点で私は、その受験校をどうしても受けたい、という決意を受験生本人から聞くときにその子のコミュニケーション能力を見ることにしている。
「その学校になぜ行きたいのか」
「ほかの学校ではなぜ嫌なのか?」
「やっていく中で勉強がきついな、と感じたらどうするのか?」
「その学校をトライして、落ちたとしても悔いはないのか?なぜそう思えるのか?」…。
「その学校受けたいの?」と私が聞いて、小学生のように頭をコクンと縦に揺らす程度の子なら私は100%その受験を引き受けない。
コミュニケーションの得手不得手はその子の個性の問題だ、とよく言われる。たしかにその通りだ。生まれ持った個性がある。それぞれ特有のこだわりもあるだろう。小さい時から周りの大人が話過ぎてしまったり、生い立ちゆえに周りからスポイルされて感情を表に出せなくなってしまった子もいるかもしれない。それですべてがダメになるわけではない。物静かさゆえに評価されたり好かれることもあるだろうし、10代後半以降に会話上手になる人もいる。ただ、今回の高校受験ラスト2カ月半の追い上げ、というミッションに適さないだけのこと。ぜひ高校受験は無理をせず、別の様々な分野で飛躍をしていただきたい。

4)字を書くスピードが早いかどうか
直前期にドカンと伸ばしたいならばこれは絶対だと私は思っている。字を丁寧に書くのは立派だが、15歳になって遅いのはダメだ。多少雑な字でも構わないから(読みづらいほど雑な字はもちろん論外)勢いよく書いていくことはとても重要だ。そもそも高校入試も大学入試もゆっくり書いていたのでは時間内に解ききれない。2カ月半で必要なアウトプットを行う際にも同様だ。今、中1・中2生の皆さんで小学生の漢字ドリルを書くように鉛筆をほぼ直角に立てて、べっとりとした字でゆっくり書く癖がある人、あるいは消え入りそうなミミズ字を書く癖がなくならない人、ぜひ今から早く字を書く練習をしてほしい。右手で書く人の場合、掌底を右下にし、ペンを右斜め下にむけて筆圧を上げて書いていく。きっと書道の先生から見ると全くの不正解な持ち方だろう。でもこれが今まで文字を書くスピードが遅かった人がスピードアップを遂げていった一つの書き方だ。横書きであろうと縦書きであろうと、文字を書く進行方向に対して掌底が邪魔をしない。かつ今までべっとり書いていた人はペンを倒しつつ力を入れて書くことで適度な筆圧とスピードアップが図れると思う。残念だが、中3の時点でこの問題が解決していないなら、直前期の無謀な追い上げはしないほうがよいだろう。

長々と私なりの条件を述べてきたが、冒頭で述べたとおり、様々な状況や生徒の成長度合いがあるなかで、これは一つの例として参考にしてほしい。加えて、本人がその高校にどうしても入りたいというゆるぎない意志があること。残念ながら第一志望校の都立が不合格で第二志望の私立高校に進学することになったとしても悔いはないと断言すること。そして親御さんが第二志望の私立になっても負担を受け入れるだけの経済的な余裕があること。これはいうまでもなく、高校受験のチャレンジを行う際に求められる必須条件だ。

私立高校の入試相談が終わり、いよいよ都立高校受験も第四コーナーを迎える。受験は人生に1度ないしは2度程度しかないビックイベントだ。この記憶を一人一人にとって決して忘れることのない貴重な思い出にぜひしてほしい。受験生の健闘を心から願う。