高校受験

2021年度都立高校入試の講評と予想平均点①

今年も都立高校入試が無事終わった。未曾有のコロナ禍で過ごした(元)高校受験生のみなさん、本当にお疲れさまでした。ひとまず、今日はしっかりと休んでください。

二カ月半に及ぶ中学校の休校期間があり、入試時期の変更がささやかれたり(結局9月入試にはなりませんでしたね。)、出題内容の変更が決まったり…など、疾風怒濤の1年間でした。

2021年度、都立入試問題(共通問題)の講評

さて、肝心の都立高校入試の問題ですが、はっきり言って「なんだか『ハリボテ』のような問題だな」というのが、私の第一印象でした。

一塾講師として、出題範囲が縮小される今年の入試問題は、昨年度までの過去問とは少し体裁・傾向が異なるであろうことは予想していました。そして、(恐らく)コロナ禍で学習が予定通りいかない中3生のことを忖度(?)して、「問題全体が例年より少し解きやすくなるのかな」という淡い期待をいただいていたりもしました。

確かに、一見すると「例年より簡単だな」と思わせる問題がいくつかあったと思います。この後のブログで各科目分析していきますが、いわゆる基本問題(「数学の大問1」や「理科の大問1・大問2」など)は、「平成10年代後半のゆとり教育時代に逆戻りしたのか?」と思ってしまうほど簡単(シンプル)な構成でした。

しかし同時に、「ちょっとこれ何言っているの?」と思うような難問・奇問も散見されました。

問題作成者の先生方にも葛藤や様々な制約があったのではないかと推察します。コロナ禍で十分な学習を受けられない子もいる学年の入試だから、簡単にしないといけない。でも、高得点をとる上位者の間で点数の差がつくように難問もつくらないといけない。平均点のバランスも考えないと。しかし使えない単元(三平方の定理)なども沢山ある…。

あれこれ要望に応えなくてはいけないうちに、なんとなく問題の難易のバランスが悪い「ハリボテ」問題ができてしまったのかな?

結果として、いわゆる「学力中堅クラス」の受験生たちが総じて苦しんでしまったような気がします。

学力上位の子はいいと思います。応用力があり、いろいろと上手く対処できたでしょう。テキストを隅から隅まで徹底的にやり切った、あるいは上位の私立高校の受験対策などで多彩な問題を解いてきた、百戦錬磨の受験生も十分に解ききれたと思います。

学力下位の子も、追い風だったと思います。いわゆる教科書にある最低限の問題をとろうとしている受験生たち。例年以上に彼らが解ける問題は多かったはずです。

中堅層。学校の成績が「オール3」から「オール4」の間に収まる人たち。都立共通問題で350点突破を目指す受験生は、上手くいかない葛藤があったのではないかな、と思います。「基本問題は取れて当たり前。そこから何点積み上げられるか?」というグループです。この層にとって、高得点のカギは「過去問を何年も解いて(且つ何度も解いて)、問題の傾向を掴み、自分のものにすること」です。でも、はっきりいって、今年は難しかったでしょう。それくらい「傾向が変わったな」と感じる、いや「つかみづらい」と感じる問題でした。

さて、ここから各科目の分析・私なりの平均点予想です。

2021年度都立高校入試の講評と予想平均点② 「国語・数学・英語」編 へ続く

 

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