2月21日(金)。
ようやく都立高校入試が終わった。
共通問題の英語・数学、自校作成校の問題等々。思うところは沢山あるのだが、とりあえず私の好きな科目である「社会」だけ、今年度(令和2年度)の問題の解説と講評をしたい。なお、難易度の「正確な」講評は大手塾などがHP上で入試翌日に示してくれるだろう。あくまで私の肌感覚で以下にまとめる。
今年の都立高校入試の「社会」。難易度は、昨年に引き続き「やや難しめ」。
都立高校入試の社会は、ここ数年60点前後の平均点を維持してきた。平成25年度はいわゆる「脱ゆとり教育」体制の初期のころで、今まで簡単だった社会の問題が急に難しくなり(と言っても、詰込み教育時代(平成14年度以前)のころの問題と比べたら「遊び」みたいな問題だと私は思うが…)、平均点が51点まで落ちた。
その後、平成26年~28年度は再び回復し57点~59点ぐらいを推移。平成29年度と30年度は問題の傾向や難易度もさらに一段階上がった感があり、「再び平均点も50点台前半か?」と思ったりもしたが、受験生(というか塾の対策)も年々レベルアップしているようで、かなり高水準の平均点を維持。平成30年度はついに60点を超えた。
しかし昨年(平成31年度)は、さすがに問題の難化に受験生が追い付かなったのだろう。再び50点台前半まで平均点は降下。
今まで単純な計算でできた時差の問題が「飛行機移動型」の問題になったり、地理の問題に現代の歴史の問題が織り交ぜられたり(ポルポト派の内戦を暗に示す内容の文から国名を当てる→答え:カンボジア)など、中学校によっては授業で習わない(教科書にも場合によっては載っていない)問題が散見された。付加的な知識と一部の情報から答えを導き出す思考力を持っていないと答えられない問題がいくつも出題されたことが、平均点を低下させた原因の一つになるだろう。
さて、今年の社会はどうか?
はっきり言って、昨年同様「これ中学では習わないんじゃない?」という問題が、今年もいくつか出題された。
典型的な代表例は大問5の問2の問題。「アメリカ大統領は議会に対して法律案を提出する権限をもっているか」。
答えは✖。アメリカ合衆国の大統領は日本の内閣と違って法律案を議会に提出する権限は持っていない。(ただし拒否権は持っている。)
いや、待てよ。この問題、最近どこかで見たような…?
…少し考えて、思い出した。
そうだ、昨年あたりの大学センター入試の「政治経済」の問題で出たやつだ!
なんで高校入試で出たんだろう…。今の中学生の教科書には載っているのかな?
(すみません、確認不足です。)
まぁ、でもどう見ても中学生で習う内容ではないかな、と。ちょっと高校入試には酷な問題であることに間違いはないだろう。
さて。果たして、今年の社会の平均点は何点くらいか。
私は55点前後だと予測する。
(※2020年9月追記 今年の都立社会の平均点は57点でした。)
たしかに、昨年と同じくらい難しい問題が多い(もしかすると昨年以上かも…)。だが、冒頭でも述べたとおり、都立高校受験をする生徒達(そして指導する塾も)年々、問題に対する耐性が上がってきており、学力のレベルは上がっていると私は思っている。
実際、今年度に私が教えた中3受験生たちには、(詰込み教育型時代の)平成10年度から直近の平成31年度に至るまで、今年は合計22年分の過去問をすべて解かせ、全問を解説して理解させてきた。
結果、21日の社会のテストは、自校作成校受検者で100点(満点!)、中堅上位校受検者は全員80点以上をとることができている。
きっとこれは、私(と私の生徒たち)だけに限らず、都立高校受検の指導をしている社会担当の塾講師のみなさんも同じだろう。
昨年度の難化した問題を目にして、指導力を大幅にモディファイしているはずである。
そう考えると、問題は昨年同様「やや難しい」と見るが、平均点は微増しているのではないか。
私は、そう捉えている。
さて、ここから一つ一つの問題についてここから解説していきたい。
続きはこちらへ → 2020年度 都立高校入試「社会」の問題解説①へ
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最終更新:2022年6月26日