<前半からつづく>
中学校側は12月初旬の面談で、その生徒が現状でエントリーできる近隣の私立高校を2~3校ほど教えてくれるはずだ。そして今年であれば12月9日あたりまでにはどこを受けるか決めてください、となる。(おそらく今年は12月13日に入試相談となるため)
中学校の先生も大変だろう。大勢の生徒を短期間に捌いていかなければならない。期限にも日程にも全くをもってゆとりがない。どうしても淡泊に対応していくしかないのだ。加えて高校に関する情報量にも限界がある。中学校の先生たちは入試だけを専門に行う集団ではない。中学校の面談や保護者会で提供された情報を保護者の方から伝え聞いて、我々塾講師が唖然とさせられることは相当あるが、これも致し方ないことなのだろう。
この点で、内申が予想外の数字だった場合、真っ先に塾に相談してほしい、と私は常々思っている。
実際のところ、塾の真価はこうしたコンサル業務に現れるはずだ(生徒たちにわかりやすい授業を提供する、生徒たちの成績を伸ばす、というのは塾としてそもそも当然の業務なのだから)。
本当の塾というのは、受験校の情報や受験プランニングについての圧倒的なノウハウを持っている。生徒の現状がどんなものであっても(内申が急降下した、欠席日数が異常に多い、中学校時代にこんなことを経験した、高校進学後にこうした懸念がある…等)その状況に応じて最善の学校を複数校案内できる。
それが塾屋というものだ。加えて、志望校の基準内申に到達しなかった場合でも、塾に相談するのは大きなメリットがある。高校によっては内申点が一定基準に満たない場合でも別の特記事項(具体的には英検などの検定試験を持っている…等)で加点をしてくれる学校もあるのだ。このへんの事情は高校によって千差万別であり、中学校の先生はとてもではないが把握しきれないのではないだろうか。逆に、日々受験情報を収集し続けている塾講師は、その膨大な情報をかなりの部分把握しているだろう。自分の足で私立高校をドサ周りして信頼関係を構築している講師もおり、そうなるといざ保護者からの相談が入った時には実際にその高校に連絡をして直接掛け合う、ということができたりもする。私自身、入試時期になると毎年数十件の案件を交渉するために各方面に連絡しているのが現状だ。
受験において大きな判断をするときには、まず塾に相談してみる。これは大きな利得だと私は考えている。もっとも、それ以前から塾を相談相手の一つとして活用されてきた保護者の方もいらっしゃることだろう。とはいえ、今まで「塾は子供の勉強を見てもらうところ」という程度の認識だった方、塾の定期面談の時にしか塾の先生の顔を見ることがなかったという方は、お子さんが受験生でなかったとしても(いやむしろお子さんが受験生になる前のうちから)塾に気軽に相談する、という経験をぜひしていただきたい。将来の受験プランや、お子さんの進路について今懸念しているあらゆる点を相談してみてほしい。
そしていざ、そのような突っ込んだ質問をしてみると、今通っておられるその塾の真価もわかるはず。「成績アップを保証します!」「A君、Bさん、テスト〇〇点アップ!」いくらそんな魅力的な広告や看板を表示していても、その塾の講師一人一人が受験を最後まで見切れる力量がなくては通塾をする意味がない。
進路や受験に対して、プロとして最善の相談相手になれるか。私はそうなりたい、といつも願っている。
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最終更新:2022年6月26日