高校受験

「天才は10歳までにつくられる」の壁を突き破る2つの条件①

「天才は10歳までにつくられる」(横峯吉文著)

12~13年前、「エチカの鏡」というフジテレビ系の番組で紹介され、有名になった本だ。鹿児島で幼稚園を運営する著者が、独自の教育方法を展開し、園児達が圧倒的な学力と運動能力を身につけていく様子がテレビで取り上げられた。その「ヨコミネ式」と呼ばれる教育方法は全国で話題になり、他の様々な幼稚園でも実践されていくようになった。(ちなみに著者の横峯吉文氏はプロゴルファー横峯さくら氏の伯父にあたる方である。)

幼少期の教育って大切なんだな」ということはだれもが感じていることだろう。中学生を担当している塾講師の私からすれば、ほぼ毎週のようにそのことを痛感している。

「天才」という言葉が正しいかどうかは別として、幼いころからしっかりと「読み・書き・そろばん」をやってきた子は本当に頭の回転が速い。私が1教えれば5とか10理解できる子ばかりだ。

でも、「中学生になってからでは、学力が伸びないか?」というと、まったくそんなことはない。中学生・高校生になっても、もっと言えば成人して大人になってからでも、人は学ぶ力・理解する力を培うことができる、と私は確信している。

実際、入塾した時は「九九」ができなかったような中学生が、学習を続けて成長し、難関大学に進学していく、というようなストーリーは数えきれないほど見てきた。もともと「天才」だった、とは判断していない。

ただし、「幼いころに培うべきだった学習する能力」を中学生以降になって身に着けるために、つまり「天才は10歳までにつくられる」の壁を乗り越えるためには、私は二つのことが必要だと思っている。

 

①他のことで学ぶ意欲をそがれないようにする

いわゆる「中学入塾組」←(上記の「10歳までに学力を培えなかった子」たちを私はこう表現している)で、「なかなか勉強しても覚えられない」というタイプの子の多くは、この問題にぶつかっているはずだ。

「勉強したくないけど、親に言われて嫌々塾に通っています」という子は論外。

でも、「勉強頑張りたいし、受験も成功させたいんだけど、なかなかやる気が出ない、やっているつもりなんだけどなかなかできるようにならない」というあなた。

実際は他のことに興味の対象が行っているんではないかな?

部活だったり、恋愛だったり、友人との人間関係だったり、ゲームだったり…。もちろん、他のことをしてはいけないのではなくて、いわゆる「勉強に気持ちが向かない」という状況を許してしまっている状態。これでは、いつまでたっても学力は伸びない。どうしたらいいのだろうか。

先ほど、「成人して大人になってからでも、人は学ぶ力・理解する力を培うことができる」と書いた。実際、大人になってから趣味の分野でなにかの資格をとるための勉強をしたり、大人になってから若いころに果たせなかった大学進学をする方なども大勢いらっしゃる。そうした人たちの多くは、仕事をしたり、家庭を持ったりしながら勉強しているから、頭の中では考えなくてはいけないことが沢山あるはずだ。でも、「仕事のことで頭が一杯だから、なかなか勉強が身に入らない」と弱音を吐く人はほとんどいないだろう。

なぜか?-だって、大人になってから、あえて自分で決めた道だもの。それを「やりたい」と自ら思って入り込んだ世界。(もちろん、時々弱気になったりもするだろうが)大人として、その意志や気持ちを果たすために、最初は大変だったとしてもやり遂げるはずだ

 

これは中学生の皆さんも同じだったりするはずだ。テニスにあこがれて、中学生で念願のテニス部に入ったとする。最初は基礎トレだったり素振りだったり球拾いばかりをやらないといけない。でもほとんどの人は途中で投げ出さない。「上手くなりたい」「レギュラーになりたい」という強い気持ちを持っているから。

なかなか上達しないし、筋トレばっかりで疲れるから、部活はやる気がでない」とは言わないはずだし、「忙しいから週に2回だけ部活に参加します」とは言わないだろう。

でも、なぜか勉強ではそれを許してしまう中学生が多い

「中学入塾組」の半分くらいは、当該学年の学習内容すらおぼつかない状態でスタートする。最初はわからないことだらけだ。質問内容をしっかり読む、理解する、という作業自体が苦痛なはず。宿題を家でこなしながら、ふと頭は違うことを考えたりする。宿題を最後までやりきるころには(空想時間もふくめて)かなりの時間が過ぎている。「疲れた。」こうして勉強の意欲が削がれていく

次第に、最低限の宿題を流れ作業でこなし、週に2回~3回、塾に行くことだけで「勉強している」気になっているが、学力は全く上がらない。

これでは、上述の部活を投げ出そうとしている子となにが違うのだろう?

「中学入学組」で爆発的な学力の伸びを記録する子は、みんなが「覚悟」や「決意」がある。「絶対に〇〇高校に受かる」、「今の勉強ができない自分を変えたい」、「自分の今までの流れを変えるためにはどんなことでもする」…。そういう覚悟や決意。だから伸びる。

一度勉強を始めたら、そこに集中すること。熱中すること。夢中になってみること。

これが、学力を伸ばす勉強

 

数年前の有名になった「ビリギャル」という映画がある。偏差値30だった子が慶應大学に受かる話だ。

あの子はもともと頭がいい子だったんだよ。だから慶應に受かったんだ。」

そんな意見を言う人たちが大勢いる。受験屋の私からすると「気の毒な考え方だな」と思わざるを得ない。主人公ご本人の地頭がどれだけのものかは私にもわからないが、少なくとも彼女の慶應合格は「覚悟」と「決意」ゆえに築いた学力の産物だ。演出があったとはいえ、ビリギャルの映画にはそれが良く表現されていた。主人公が受験に夢中になっている様子。熱中している様子だ。だから私はビリギャルの映画が好きなんだ。

 

さて、「天才は10歳までにつくられる」の壁を乗り越える二つの目の要素はなにか?これは、私たち塾講師や、親御さんにも関係する事柄になる。

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