6月11日に都立高校の入試概要が発表されました。山口先生も速報でブログの記事にされてましたね。
具体的には「出題範囲を縮小する」という点が大きく話題になっていますけど…。
ひとまず、来年の2月に通常通り入試が行われる、ってことになってよかったですよね。つい1か月前くらいまでは「9月入学」とか、「入試を延期して4月にやるとか、6月にやる」みたいな話まで言ってましたから。
山口先生は頑なに「9月入学反対派」でしたよね(笑)※過去ブログ「現実的ではない9月入学」の記事を参照
まぁ僕も「このタイミングで色々変えるのはどうかな」と思っていましたから。やはり、通常通りに入試が行われることは素直に喜んでいます。
『学力格差が生じる』とか、『勉強についていけない子が出る』とか、正直「何言ってるんだ?」って話ですよ。コロナの期間中だって、いろいろ不安な思いを抱えながらも頑張って塾に通ったり、家で自分を律して受験勉強に励んでた子が沢山いる。なんでゲームとかしてゴロゴロ過ごしてた子に合わせるんだ?と。
そういう点では、出題範囲の縮小すら必要ないでしょ、というのが個人的な感想です。
相変わらずの辛口批評ですね…。
僕は穏健派なので、その辺はとりあえずノーコメントで(笑)
ところで、多くの受験生の親御さんや中3の受験生の皆さんは、今回の出題範囲の変更が入試にどんな影響を与えるのか、そこが一番気になってると思うんです。
高校受験のプロとして、山口先生にズバリお聞きします。
今回の変更は、今年の高校入試には追い風(有利)ですか?それとも向かい風(不利)になりますか?
基本的に、有利にもならないし、不利にもならないと思います。
興味深い発言ですね。
具体的に言うと、どういうことですか?
まず、英語と数学を中心に話しますが、縮小されるといっても量としては大した分量ではないんですね。英語は関係代名詞だけを除外する。数学は三平方の定理と標本調査の部分です。標本調査なんて塾の授業で言ったら1時間分くらいで理解できる範囲ですよ。そもそも受験対策としてはあまりやりません。
なるほど。
ただ、どうなんでしょう?英語の「関係代名詞」と数学の「三平方の定理」って「高校受験の肝」だと言われる部分ですよね。
たしかにそうですね。でも英語の「関係代名詞」も数学の「三平方の定理」もそうなんですが、上記の2つの単元を「しっかりと理解しておかないと入試で勝負にならない(負けてしまう)!」っていう人が、受験生全体の何割いるのか?と考えたほうがいいでしょう。
もちろん、関係代名詞ってなにか?三平方のピタゴラスの定理ってどんなものなのか?くらいは全員知っているほうがいいです。
ただ、実際に文法として関係代名詞の組み立て方を知っていないと入試の点に響くのは、はっきり言って都立自校作成校の受検者だけです。三平方の定理も同じようなもので、都立共通問題の数学で85点以上を狙う人、および都立自校作成校を受ける人だけです。それって、受験生全体の2割くらいですよ。残りの8割の人は、都立入試当日に英語の長文問題でサラっと関係代名詞が出てくるのを気づくか気づかない程度。数学は大問3の(3)と大問5の(2)で三平方の定理が出るけど、そもそも難しくてなかなか解けないから問題なし。
つまり都立高校受検者の80%以上は、専ら中学校の内申対策(二学期の期末テストで出る範囲)のためにやってるようなもので、入試の点にはなんら関係がないんです。
ふむふむ。
いろいろな塾の教室長・塾長さんたちのブログを見ていると、(すべての過去問に関係代名詞や三平方の定理の問題があるので)「今年は過去問演習が大変だ」みたいなコメントを結構見かけますが…。
それは、そういう上位校受験者を対象にして仰っているのかな…?
はっきり言って、上位者は範囲縮小なんて関係ないですよ。都立自校作成校受検者のほとんどは、私立高校の上位校(MARCHの付属等)を受験するでしょうから。こういう難関私立は来年も普通に「関係代名詞」や「三平方の定理」を出してくるはずです。今まで普通に、公立中学では習わない範囲を問題に出してきたのと同じ要領で。
じゃあ、都立共通問題を受検する人には影響はない、と?
もちろん、全くないわけではないです。今までの都立の過去問でいうと、大問4の(1)とか、大問5の(1)あたり(つまり、都立中堅上位校あたりを狙う生徒でも取れないといけない問題)で三平方の定理が出たことは何度もありますから。でも、そんなものは指導している塾講師のパワーでなんとでもなりますよ。
だって過去にもそういうことはあったじゃないですか。平成10年代の入試を指導してた頃(1980年代後半生まれ~1990年代前半生まれの受験生の代)なんかは、指導要領が改訂された直後で、数学は一次不等式とか習わなくなったから、過去問は(未修範囲の問題を)上手く飛ばしながらやってましたよ。その問題の代わりに先生たちがオリジナルで別の問題を作ったりしてね(笑)
だから、都立自校作成校の過去問演習も同じです。今年だけオリジナルで塾の先生が問題を作ってあげればいい。
ああ。懐かしいですね。たしかに、そういう時期もありましたね。
随分遠い記憶だな…(汗)
今回の「コロナ禍」を有事と呼ぶかどうかは微妙だけど、こういうイレギュラーな年の入試の指導は、場数をこなしているベテランの塾講師のほうが上手くいくでしょうね。若さとか情熱も大切だけど、それだけじゃハンドル操作を誤る可能性がある。視界が悪い時の車のドライビングみたいなもんです。
もちろん年数重ねていればいいって訳じゃ決してないですよ。高齢者の踏み間違えじゃないけれど、大して指導力のない中高年の塾講師もこの業界たくさんいるし…(笑)。
わわわ、また爆弾発言を…(苦笑)
まぁまぁ、落ち着いて…。
では、とりあえず英語の「関係代名詞」や数学の「三平方の定理」は上位校受験者だけが覚えて、他の受験者は、縮小された単元は覚えずに、過去問を上手く使って、力をつけて乗り切るってことでしょうか?
いえいえ!
何を仰るんですか!?学習しない、なんて一言も言ってないですよ。
「関係代名詞」も「三平方の定理」も余程のことがないかぎり、全員の生徒に教えます。これは学力の上位者、下位者関係ないです。
え!?
またまた、興味深い話が始まるみたいですね。
それはまた、なぜですか?
それもまた、受験のプロとしてのテクニックです。
まぁそれは、次回のブログのお楽しみに!
ええっ!?まだ聞きたいのにな…。
う~ん。じゃあ、仕方がないので。
次回に続く…。(謎)