大田区大森の進学塾、大森山王学院の山口です。
9月下旬。
「都立高入試の男女別定員、段階的に廃止へ」
というニュースが報道されました。
今年の春先くらいからそういう報道はあったのですが、9月24日に東京都教育委員会が決定事項としたことで、一気にテレビなどでも取り上げられるようになりました。
「男女別定員がなくなったら、高校が女子ばっかりになって行事が大変。」
「急に定員がなくなったら、トイレの増設工事をしないといけない。」
といった面白い意見もニュースでは報じられていました。
本当に、「面白い」意見です(笑)
まず、今回の議論の背景にあるのは、一つの都立高校で生徒を募集すると女子の方が相対的に学力が高い人が受験してくるので、男女別の募集では男子よりも高い点数を取っているにも関わらず、一部の女子が不合格になってしまう、ということでした。
東京都の「高校案内」の本などをご覧いただければすぐに確認できますが、概ね、どの都立高校も男子と女子で合格点が20点程度開きがあります(女子の方が高い)。
この結果、(男女別定員が存在しなかった場合と比べて)不合格になる女子受検者は年間約800人ほどになる、とのことです。
私個人の意見としては、男女別定員なんてすぐに廃止すればよい、と考えています。
というのも、ニュース等ではほとんど報じられいませんが、都立高校の定員というのは、もともと男子の方が定員が多いからです(恐らく、いろいろな思惑があると思います。男子は高校を中退する人もいるとか…)。
例えば、昨年の都立高校の入試の合格者を見ると、
都立青山 男子133名、女子123名。
都立駒場 男子117名、女子108名。
都立小山台 男子133名、女子124名。
都立高校の入試はもともと「不平等」だと私は思っています。「女子の方が学力が高い。よって受験では女子の方が戦いが厳しい」というのは納得できなくもないですが、そもそも入り口で男子有利にしているのなら、「もっと是正しましょう」と言われても仕方ありません。
そして、既に都立高校でこの男女別定員を緩和(廃止ではない)している学校もあります。緩和しているのは、主に学力中堅上位校~中堅校の都立です。(都立最上位校や上位校で男女別定員を緩和している学校は今のところほとんどありません。)
都立雪谷 当初募集:男子116名、女子107名 →合格者(緩和実施):男子111名、女子116名
都立目黒 当初募集:男子99名、女子92名 →合格者(緩和実施):男子90名、女子106名。
都立向ヶ丘 当初募集:男子115名、女子107名 →合格者(緩和実施):男子104名、女子120名。
あくまで現状は緩和(受検者の10%)ですが、この10%の融通に助けられて合格点ボーダーライン上にいる女子受験生が一定数合格していると思います。
そして、上記の合格者数を見ていただければお分かりのように、男女別入試を緩和して女子がある程度多く入ってきたとしても、いわゆる「女子ばっかりだから、学校行事ができない」とか、「トイレの数が足りなくなる」といったようなコメントは明らかに的外れなものであることがわかります。
実際、都立高校では、そもそも男女別定員を設けていない高校もすでにあります。都立芦花高校とか都立新宿高校とか。私の知る限り、男女バランスが大きく崩れて「男子校」「女子校」のようにはなっている学校はありません。(一部の特殊な学科は除く)
さて、男女別定員枠廃止を進める、デメリットはなにか?
ひとつは、男子を贔屓目にみて恐縮ですが、「今までギリギリで都立高校に受かっていた男子受験生」の入試が苦しくなることです。結構な範囲で今の「不平等」な入試制度によって男子の受験生は助けられてきました。
特に偏差値が62~64くらいの高校、共通問題作成校の上位校(武蔵野北・調布北・竹早・小松川)あたりは男女比の点数差が一番大きくなる学校です。
というのは、共通校のトップクラスは基本的に「内申勝負」だからです。受験生の上位者はオール5にかぎりなく近い内申でその学校を受験してくる。女子受験生の方が一般的に内申を持っています。男子はオール4くらいの内申でも、当日点で逆転合格を狙って受験する生徒が結構いる。もちろん、その中で上手く当日点を取れて合格する男子もいるでしょうが、全体的にみれば、内申をたっぷり持って且つ当日点も安定して獲得できる女子受験生の合格点が高いのは自然なことでしょう。
この都立高校の「男女別定員撤廃」は、来春の入試でいきなり完全実施をするわけではありません。おそらく、現状行っている「定員10%緩和実施」校を増やす程度で2022年度入試は行われるでしょう。
受験生たち(特に男子受験生)にはなにができるか?
私がしたい提案はたった一つです。
「内申をもう少し上げよう」
実技科目の内申を頑張ってあと一つだけ上げる。そうすれば、当日11点分の貯金になります。11点のアドバンテージがあれば、男女定員の廃止による影響はほとんど受けないでしょう。
「いや、そんなこと言ったってもう成績は限界まで上げているよ。」
と思いますか。おそらく私の生徒達もそう言うと思います。ギリギリまで頑張ってあげてます。5科(英数国理社)はね。
実技は意外と、まだまだいけるものですよ。特に「音楽」とか。
「もう内申は上がらない」と言うけれど、本気で歌って、本気でリコーダー練習してますか、男子諸君?
おそらく、持ち前のパワーで、数学や英語を解くのと同じ気持ちで向かい合ったら、実技科目の内申上昇ももう少し期待できるかもしれません。
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