高校受験

「天才は10歳までにつくられる」の壁を突き破る2つの条件②

「天才は10歳までにつくられる」の壁を突き破る2つの条件①の続き…

②伸びるタイミングまでしっかり耐える

「朝に種をまき、夕方になるまで手を休めるな。あなたは、これがどこで成功するか知らないからだ」

高校生の時に覚えたこの聖書の名言が私は好きだ。20年以上たった今でも、自分自身の座右の銘の一つにしている。おそらく、塾講師という仕事をし続けているからだろう。

生徒達の成長のタイミングはみな違う。

入塾して3カ月くらいで結果が明確に表れる子は、私の中では「三分の一くらい」だと感じている入塾して1年くらいで「1年前と比べてよくできるようになったね」という子のほうが多い。私は大学受験部門も担当しているので、中学生で入塾した生徒が高校生になってから伸びていく瞬間も立ち会うことができている。

中1の終わりごろに入塾し、中学生の頃は何度やってもbe動詞の一般動詞の使い分けができない生徒がいた。中3生になっても、現在完了形や関係代名詞以前に、動詞の使い分けでミスをするタイプ。「なかなか苦しいな」と思った。しかし、高1になって英語が徐々に伸び始めるようになった。現在高2生。英語は得意科目になり、大学入試のマーク模試でも、高2ながらかなり高い偏差値をとれるところまできている

国語や英語は、その子の精神年齢が上がってきたときに今までやってきた成果がグーンと表れて伸びる可能性がある科目の一つだと私は捉えている。その子はまさにその例だ。

いずれにしても、一つ私が確信をもって言えるのは、

正しい方法で勉強を継続的に行っていれば、人は絶対にどこかのタイミングで必ず伸びる、ということである。

最後まで種が芽を出さない、ということはあり得ない

 

女優の芦田愛菜が慶應中に受かった時に、王貞治氏の名言を心に留めていたことを述べていた。

「努力は必ず報われる。報われない努力があるとすればそれはまだ努力とは言えない」

この名言、私もまた大好きな言葉であり、上述の聖書の格言同様、私の座右の銘にしている言葉の一つだ。

 

さて、「伸びるタイミングが人それぞれだ」ということを念頭において、周りの大人である塾講師や親御さんには何ができるだろうか?

 

まず、塾屋として私が「なかなか伸びない」生徒に対する指導で心掛けているのは気持ちを引き伸ばす」こと。同じような表現で、よく「心を折らない」という表現を使う方が多いように感じるが、私はこの言葉が好きではない。守りに入っているようでネガティブに聞こえてしまうのだ。

「気持ちを伸ばす」、「止まりそうになっている気持ちをグーンと引っ張っていく」、そういうイメージ。

具体的には、その子が続けられ、かつ少し背伸びした課題を繰り返し出し続けること。明らかにペンが止まってしまう課題はその子の思考を停止させるだけだ。その子がギリギリ解けるか解けないかくらいのラインの課題をだす。そして、(なかなか伸びない=覚えたことを忘れやすいゆえに)同じ課題を、時を見計らって繰り返し出していくこと。そうすると、いずれ「解けるか解けないか」だった問題が「あー、これもう何度もやって余裕じゃん。簡単すぎるよ」と思えるようになってくる。そこで本人にも余裕が生まれる次のステージに問題の内容を上げる

こうやって、気持ちをどんどん引き延ばしていってあげることが重要だ。

もちろん、頻繁なコミュニケーションも大事だろう。世間話をして気持ちをほぐしてあげるだけでなく、定期的に進路の話、成績を上げることの面白さ、を語ってあげると、生徒の気持ちは持続する。〇〇高校に絶対行こう、次の定期テストで75点以上とってやろう、という気持ちが生まれてくると、生徒達は自然と勉強に気持ちが向かうようになるからだ。

 

親御さんとして、なにができるか?

まず第一に、親御さんが子供の伸びるタイミングまで「一緒に気持ちを引き延ばしてあげる」ことが大切待ってあげる。時には耐えてあげる

カエルの子は所詮カエルですから」といったようなことを面談時に子供の前で話す親御さんがいる。これでは、耐えているのではなく諦めているだけだ

成績が上がらないんで違う塾に行きます」というフレーズを何度も聞いてきた。転塾するのはご家庭の勝手で、むしろ、「伸びる環境」を見つけられたのなら、ぜひうちの塾は辞めてそこに行かれたほうがいい。

ただ経験上、成績が上がらないことを理由に辞めていく方は、その後もいわばジプシーのように塾を転々としている場合が多い。要するに、親御さんが「待ちきれない」のだ。これではやはり子供の学力は伸びない。

 

ご家庭で、塾講師がしているように進路の話などを頻繁にしてあげることも有効だろう。伸びる子供の多くは、親御さんとのコミュニケーションが十分に取れているご家庭の子が多い、と感じる。進路の話だけでなくてもいい。ニュースを見て時事問題について他愛のない会話をしたり、子供が疑問になったりすることを話し合うのもいい。ご家庭のコミュニケーションが活発なのは、子供の空調がよい状態に保たれているのと同じだと私は捉えている。空調が良いほど、子供は頑張りやすくなる。ぜひ、空調の配管を詰まらせないようにしたい。

注意を一点。ご家庭で進路の話や定期テストの話をするのは大いに賛成だが、一つだけご家庭特有の、子供をむしばむ要素がある。それは、テスト結果や成績に「ご褒美」という特典を付けることだ。この件を詳しく論じると長くなるので、また別の機会としたいが、勉強の「成果」を「ご褒美」に結びつけるのは百害あって一利なし、だと私は思っている。

 

さて、中学生はいよいよ期末テストの時期だ。

努力は必ず、いつか報われる。だから、決して手を休めずに。