6月に入って、首都圏の小中学校は続々と授業が再開されてきている。まだまだこれから先どうなるかは予断を許さないが、ひとまず2021年度の学校生活がようやく始まったことを教育業に携わる者の一人として嬉しく思う。
子供たちには毎日の生活を目一杯楽しんでほしい。今回の長期休校で、「両手いっぱいに仕事を持つよりも、片手は休息で満たす方がよい」という格言を身にしみて感じた。かつて部活や習い事、塾での勉強…と「両手いっぱいに」抱えきれないほどやることを背負っている中高生が少しかわいそうに思えた。とはいえ、休息も然り。「両手いっぱいの休息」は子供たちのやる気と自尊心を失わせる。何事も程度が肝心。休息はもう充分すぎるほどとれている。「ここからアクセル全開で頑張ろうぜ!」と、私も生徒達には発破をかけ続けていくつもりだ。
ただし学校の夏休みは大幅に短縮されてしまったことは、受験屋の私からすると「かなりきつくなるかな」というイメージが湧く。それほど受験生にとって夏は重要な時期なのだ。一番学力が伸びる夏の時期を、学校のカリキュラムをただ消化するだけの授業に拘束されるのは残念でならない。もっとも3カ月以上休みを取っておいて、夏に再び40日も学校休ませたら、子供たちの生活のリズムが狂うだけ。義務教育ならなおさら学校はやったほうがいいのは十分承知している。今年の塾での夏期講習は、塾と講師の力量が問われることになるだろう。如何にして短い時間で結果を出すか。受験生たちとっては大変なプレッシャーであることは言うまでもないが、受験をひとつの「勝負」として考えるならば、下克上受験、番狂わせ合格が沢山起こる年にもなり得るはずだ。面白い受験になる。
ところで中学受験や大学受験では、その入試の色合いからいって非受験学年(小5・高2)の頃から大体の志望校を決めているのが常だが、高校受験では意外と中3のこの時期になっても志望校が定まっていないご家庭が多いことだろう。これはある意味やむを得ないことなのかもしれない。中3生の春から秋にかけてというのはとにかく忙しい。体育祭、文化祭、合唱祭、修学旅行、部活の引退をかけた試合、発表会、中間テスト・期末テスト。そして多感な思春期のど真ん中。とにかくバタバタしている。その合間を縫うかのように志望校選びがあり、受験勉強がある。ゆえに高校入試の場合、この時期に志望校が確定していないことが「遅い」わけでは決してない。(もちろん早くから志望校を決めている志しの高い中学生も沢山いるし、そのほうが第一志望校合格の可能性は格段に高くなることは事実だが。)
多くの中3生は、5月~6月に行われる高校の学校見学などに参加してある程度学校の雰囲気を知り、1学期の内申と夏の塾での頑張りの成果(8月終わりの模試)で大体の学力位置を見定め、あとは9月~10月の高校説明会や文化祭などでもう一度学校を見て、ほぼ確定という流れだろう。
志望校をどうやって決めたらよいのだろうか。どこに着目すれば「いい学校だ」と判断できるのか?
今回は3つのカテゴリーに分けて、私なりの「志望校選びのポイント」を解説してきたい。中3受験生や保護者の方のみならず、中1・中2生の親御さん、中学受験の志望校選びをされている親御さんにも参考になれば幸いだ。
② 「卒業後の進路」のページを見るときに注目すべき3つのポイント
③ コストパフォーマンスで考えたときのオイシイ志望校選択とは