高校受験

現実的ではない「9月入学」。受験生は来春に向けて今何をすべきかを考えればいい。①

日本の「4月入学・3月卒業」という制度を見直すべき、という意見が声高に叫ばれています。(教育関係の)業界内でも「9月入学の件は随分と現実味を帯びてきたようだ」という(出所が不明の)情報がちらほら聞こえてくるここ最近。

受験学年は、入試にむけての準備期間が短い非受験学年もカリキュラムが終わらない学校生活の(当該学年の中で味わうことのできる)思い出や経験が減ってしまう…。

教育の専門家や、ワイドショーのコメンテーターがそう言ってます。昨日はTVで某有名難関私立中学の先生までが文部科学大臣に「9月入学」制度導入を迫っていました。

 

受験だ。思い出だ。経験だ。

面白い理屈ですね(笑)。本当に子供たちはみんな望んでいるんでしょうか?

 

学校にいけない時期があった。それも経験。思い出です。この休校期間をどう過ごすか、学校が再開されたとき、残りの学校期間をどう過ごすかで、経験値や思い出の数は変わります。そんなこと、多くの大人は言われなくても理解しています。

 

学校のカリキュラムがすべて終わらなかった。中高一貫校の人や、塾に通っていた人ばかりが有利になった入試だった。そういう年の入試も、「立派な入試」です。そもそも大なり小なり、特定のグループの人が有利になる不利になる、という入試は今までもたくさんありました。でも、受験の世界で(あるいはスポーツなどの他の世界においても)、敗因を状況のせいにするのは最低だということもまた、多くの大人は言われなくても理解しています。

 

今年急に「9月入学」という制度に変えるデメリットや懸念材料は数えきれないほどあります。

 

①学年割をどうするのか?

今まで4月2日時点での年齢を基準にしていた学年を、9月1日時点での年齢を基準にするのか、あるいは今まで通り4月基準の年齢のままいくのか、まだ決まってません。前者の場合、再来年から今の学年が分断されることになります。今まで同級生だった子が先輩になってしまったり、あるいは逆に今まで後輩だった子と同じ教室で授業をうけることになります。それを子供たちが受け入れられるのか?という話。

おそらくほとんどの小中高生にとって、(9月入学制度にしないで)コロナ禍が明けた後に半年で一年分の勉強をすることより、辛いことだと思いますよ。一度決まった学年を解体するってそういうことです。

後者の4月基準のまま、新学期だけを9月に変える方法にも懸念があります。これは②の点とも関係がありますが。

 

②いつ就職するの?

学校の入学時期が変わるのに伴って、再来年から入社時期も9月になるんでしょうか?そうするとエントリーから面接まですべて時期が変わってしまいますね。場合によっては今働いている人たちの定年退職の日付も変わってくるでしょうし、人事異動の時期も変わるかもしれない。もしかしたら決算期まで変えるんでしょうか。企業側も相当大変ですね。

学者たちの中には「大学は7月に卒業して、翌年の春までモラトリアムの(海外に旅行したりして人生を考えよう、みたいな)時期にしたらいい」とかお気楽な事を言ってる人たちもいます。未曾有の経済危機を迎えようとしている中でずいぶんと面白い発言です。いずれにしても学校制度を変えるってことは社会の動きまで変わるんですが、大丈夫なんでしょうか。

私個人としては、来年以降、学生を終える期間が一律全員延びてしまうことがかわいそうだと思います。早く卒業して社会人になりたい、って思っている学生はたくさんいると思いますよ。私はそうでした。奨学金とアルバイトでなんとか学生生活をつないでいる(いた)人には、学生生活が半年延びるってかなり苦しい。そもそも、その延長される半年分の学費はだれが払うんでしょうか。「モラトリアム」なんてのは、大学院の博士課程まで親のお金で何不自由なく学生生活を送れた人だから言える話です。

 

③コロナが秋以降爆発的に増えたらどうするの?

コロナ禍が収まって、秋から1年学校生活を送ろう、というのが今の「9月入学」の趣旨です。

でも、はっきり言って9月になったら普通に元の生活に戻れる保証があるのでしょうか

いや、仮に夏にかけてこのウイルスが沈静化し、9月は学校に通えるようになるかもしれない。で、もし秋以降またコロナが爆発的に増え、学校に通えなくなったとする。

また学校が何カ月も休校になったら、受験勉強も不利だし、学校の思い出もできないですよね。

じゃあ、今度は学校は「1月入学」にしますか?

 

…そうじゃないだろ、ってことです。

 

だからこそ、学校が何カ月休校になろうが、今年度は今年度でできる限りのことをして乗り切ろうよ

と、私は思います。

いい思い出、いい経験はたくさんできますよ。むしろ、普通に学校に通ってたらできないことって、身の回りにたくさんある

嵐の中でも、時は過ぎゆく。」

シェイクスピアの「マクベス」にある一節。

思い出も、経験も、自分の意志次第でいくらで積み重ねることができる。でも、一度過ぎた時間は戻らない。コロナで学校が休校になっている時間は、べつに「存在しない時間」ではないはずです。いくらでも、何かを積み上げる機会がある。じゃあ、今を精一杯頑張ろうよ、って思うんです。

受験勉強だって、充分できます。充分すぎるほど、他の人に圧倒的なアドバンテージをつけられるほどできます。

なんであとになって(9月以降)「時をやり直す」かのように新学期を1年間過ごさなくてはいけないんでしょう?

しかも、「やり直す」んじゃない。ただ単純に、学生全員が「半年分」余計にトシを食うんです。本来、社会人になって、あるいは大人になって、楽しむはずの人生が半年分減るわけです。

もっとも、私は「9月入学制」自体を否定はしません。むしろ受験屋の一人として、9月入学制には賛成の立場です。これはニュースでも報道されている通り欧米の学校に進学する際に足かせになるから。今の4月入学制は、高校卒業後、日本人がアメリカやヨーロッパの大学に行きたい、と思ったときに非常にロスです。逆にアメリカやヨーロッパの学生が日本の大学に入学するタイミングを逸する(来なくなる)要素にもなる。

でも、その制度を今変えなくてもいいんじゃないの!?と思います。日本中がエマージェンシーで、しかも(9月まで)残り3カ月半しかないですからね。

 

最終的にこの件がどうなるのか、そう遠くない時期に明らかになるでしょう。

ただ、今受験学年になっている人たち、特に高3生には、ぜひ一つのことを伝えておきたいんです。

次のブログへ続く