2021年度の都立高校入試の発表日から三日が過ぎた。
「一夜明けて…」とよく言うが、合格した人の喜びも、不合格だった人の悲しみも、3日を経て随分と落ち着いてきた頃かもしれない。
志望校に合格すると「おめでとうございます。」と言われることが当たり前で、合格できないと「残念でしたね。」という言葉があたりさわりのない声かけだったりする。
私もご多分にもれず、親御さんの前では一通りその言葉を述べる。(他意はない)
でも本音は、合格だろうと、不合格だろうと、「無事、受験が終わってよかったね。」という気持ちだ。
「不合格者に、『よかったね』なんて不謹慎だろ?」と思われるだろうか。
受験生を毎年見ている私からすると、素直に『無事に終わってよかったね』である。
「無事に終われない」例も沢山ある。
自分の弱さゆえに、途中で受験を投げ出す人も見てきた。
(ご家庭の事情など)本人ではどうすることもできない状況で、願っている受験がままならなかった人もいた。
体調面で大きな局面を迎えて、受験どころではなかった人もいた。
もちろん、命さえ失わなければ、そうした状況でさえ、決して絶望ではないと思っている。東日本大震災からちょうど10年を迎える今年。その『命」さえも奪われてしまった人が沢山いることに改めて思いを巡らす。
『受験』なんて、人生の中のほんの『一コマ』でしかない。
そう考えると『受験をさせてもらえた』経験を持つ人は、本当に幸せだったことに気づくはずだ。
『頑張る』ということを学ぶ経験ができた。自分を成長させる機会になった。
そこに『合格』も『不合格』もない。
タモリが以前言っていた。
「緊張するような舞台に立たせてもらっていることを、感謝する」ように、と。
これは『どうすれば緊張しないでいられるか?』という問いに対する答えだった気がするが、「すべての『挑戦する瞬間』に持つべき精神態度だな」と私は思っている。
入試ってすごく、緊張する。15歳ならなおさらだ。当日、予想通りにはなかなかいかない。合格を信じて疑わなかったのに、調子が狂って不合格になることも多々ある。
でも、そんな「緊張するような舞台」に、受験生は「立たせてもらった」のだ。学校の友人、健康な自分の身体、なにより親御さんの大きな支えによって。
受験の結果に対する興奮や失望が自分の中で少し落ち着いたら、そのことへの感謝を伝えてみよう。
まずは、なにより親御さんに。
こっ恥ずかしいだろうから、直接的に「いろいろ受験の時支えてくれてありがとう」なんて言えないかもしれない。「毎回、塾まで送迎してくれてありがとうございました」とか、「毎回、弁当ありがとうございました」とかでもいい。←あえて敬語を使うのがコツ…。
『緊張する舞台に立たせてもらった」経験は、あなたが経験する次のステージ(舞台)で必ず生かすことができる。今回の『受験』という経験を、どうかあなたの『次のチャレンジ』につなげてほしい。
すべての受験生のみなさんへ。
受験お疲れさまでした。そして、『卒業』おめでとう。